探偵/投資詐欺調査

【1】詐欺にあったと気付いた時にやるべきこと

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【1】詐欺にあったと気付いた時にやるべきこと

まず警察に相談しましょう。

※注意:警察は治安維持のためにしか行動しません。被害回復と警察の行動(犯人捜査逮捕)は目的が違います。相談に行くときは「お金を取り返すよりも、犯人を厳格に処罰してください」とお願いすることです。

詐欺にあった時点のあなたは、お金やビットコインなど、財産をだまし取られただけの人です。財産を取り戻すためには、この損害を「債権」に変える必要があります。債権とは「お金を回収してもよい」という権利です。損害を債権化するには、債務を負うべき人間(紹介者など)に対し債務を承認させる必要があります。

【2】何が詐欺に当たるのか(詐欺の構成要件)

詐欺というのは、相手だますこと(①欺罔行為・ぎもうこうい)、

だました相手を錯誤に陥らせること(②錯誤)

だまされた相手が、自分の意志で財物や財産上の利益の処分させるような行為をすること(③行為処分)

財物の占有または財産上の利益が、加害者、または第三者に移転すること(④占有移転、利益の移転)

財物や財産上の利益が加害者、または第三者に移転したことで、被害者に損害が発生すること(⑤損害の発生)

この5つです。

先日逮捕者が出たSener(セナー)の実際の勧誘例を見てみましょう。

紹介者(加害者)「セナーは元本保障で高配当、三菱東京UFJと取引があって大丈夫だから出資しましょう」(①欺罔行為)

被害者 「世の中にこんな簡単に儲かる話があるのなら、私も資産を増やしたい!」(②錯誤)

銀行振り込み、ビットコイン送金、直接現金を事務所に持っていく(③処分行為)

送ったお金が紹介者や、上位の詐欺師の懐に入る(④占有移転、利益の移転)

被害者には約束された配当はなく、損害を受ける(⑤損害の発生)

セナー案件では、金融商品取引法(以下、金商法)違反(無登録営業)容疑で、柴田千成容疑者ら8人が逮捕されましたが、人から財産をだまし取っているので、今後は詐欺事件でも立件されるかもしれません。

【3】不法行為であることを証明する

詐欺師はあらゆる手段を使って、詐欺罪で立件されないように行動します。

自分は紹介しているだけという立場をとるために案件(債務者)を別に立てます。案件は実態が無い架空会社、バーチャル会社、ペーパーカンパニーなど。たとえば、日本の法律が及ばないよう、海外で登記したバーチャル会社を仕立てます。そして、すべて会社の責任にして、従業員や紹介者は責任を負わない立場を悪用します。つまり悪いのは会社で、私も被害者ですと言う立場を意図的に作り上げ、原因を架空会社のせいにして責任を逃れようとします。「会社の指示でやった私も被害者です」というのが常套句。それゆえ詐欺罪の成立が非常に難しいのです。

そのため、金商法違反、出資法違反、特定商取引法違反など、不法行為が成立するところから追及していきましょう。

金商法違反

第29条 無登録営業の禁止

第197条の二 29条違反は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金

金融商品取引業を行う業者はすべて内閣総理大臣に申請、登録が必要です。セナーは、金融商品取引業の登録がないのに海外の先物金融商品への出資を募っていたため、同容疑で逮捕されました。

金融庁からも、無登録業者への注意勧告が出されています。

無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください(金融庁)

https://www.fsa.go.jp/ordinary/kanyu/20090731.html

出資法違反

第1条 元本保証、月額固定配当を示して出資金の受け入れをしてはならない。

第2条 他の法律に特別の規定のあるものを除く他、何人も業として預り金をしてはならない。

セナーは勧誘時に元本保証の資料を用いて信用させた上で、事務所に現金を持ってこさせ、指定の銀行口座に現金を振り込ませるなど、出資金を受け入れた事実があるので、出資法違反にも問われる可能性があります。

また、連鎖販売取引(マルチ商法)に該当する場合、契約時に特定商取引法で定められた重要事項説明書の事前交付をしていないため、クーリングオフの期間は無制限です。返金請求されてもお金を返さない場合は特定商取引法違反になります。

【4】どのように事件化するのか

① 警察へ通報。・・・初めは相談から

② 財務省の公益通報窓口である財務局への通報。

第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業のうち、どれかの登録がなければ、金商法違反で追求することができます。

③ 銀行など金融機関への組戻し請求

振込先口座が、振り込め詐欺などによく用いられる転売口座の場合。預金保険機構による、振り込め詐欺に利用された口座一覧はこちら。

http://furikomesagi.dic.go.jp/

④ 紹介者(加害者)などを捕まえてその場で110番、警察を呼ぶ

警察は被害届を受け付けない可能性がありますが、同じ案件の被害相談数が多い場合、極秘裏に捜査を始めてくれる場合もあります。また、110番したことは警察の記録に残ります。

⑤ 被害者の会を結成(または参加)して被害相談の件数を増やす

被害者の会の中には、大量の被害者を出している紹介者(加害者)が潜入していることや被害者の会を主催している場合もあります。「みなさんのお金を取り戻すために全力を尽くしています!もうしばらくお待ちください」などの発言やメール、SNSメッセージは、事件化を免れたい(遅らせたい)加害者がほぼ必ず送るメッセージです。

紹介者も「私も被害者です」と言いますが、紹介報酬をもらっていなくても加害者になる場合もあります。「違法と知らずに紹介した」としても、明確な不法行為です。

【5】事件化と被害回復の方法

パターン1 相手が人間の場合(銀行の振込履歴、預かり証など、お金を預けた証拠がある場合)

相手が「詐欺ではないです」と言っていても…

① 債務を認めさせる(債務承認弁済契約にサインをさせ、有印私文書の債権にする)



② 公証役場にて公正証書を作成(執行文が付与された公文書は法的拘束力がある)



③ 債務を認めない場合は事件化できる(欺罔行為が成立するため)

パターン2 相手が案件の場合

主体を紹介者など人間にする必要があります。セナーなど案件を原因に、自分のせいではないと主張するため、故意でなくても違法案件を紹介、広めてしまったことに、過失の責任があると追求します。

民法709条の不法行為による損害賠償請求を行使

詐欺罪とはっきり示されなくても金商法違反、出資法違反があると紹介者への損害賠償請求が認められた判例あり。

【6】弁護士に頼む時の注意点

① 詐欺罪ではなく、民法709条不法行為の損害賠償を請求すること

詐欺罪で追及する場合、詐欺の構成要件を証明することが難しく、時間がかかります。民事訴訟の目的は被害に遭ったお金を取り返すことなので、 民法の損害賠償請求で債権を確定させることが大切です。

② 示談交渉には応じず、全額支払い命令を求めること

「全額は払えないけれど、3分の1や10分の1など、減額した金額なら払います」というのは詐欺師の常套句です。惑わされてはいけません。示談に応じると判断したら、1000万円の債権が10万円など、平気で100分の1に減額要求してくる詐欺師や、和解調書を作成しても、支払いを実行しない詐欺師もいます。中には、詐欺行為で1億円を集金して、返金請求されて3分の1を返金しても、約6000万円利益が残ると計算して詐欺行為を行う常習犯もいます。

【7】訴訟の種類

本人訴訟

弁護士に依頼せず、自分自身で証拠や不法行為の証拠を提出して支払い命令を勝ち取る

弁護士を使った訴訟

弁護士は本人の代理人なので、弁護士に証拠類を預けて支払い命令を勝ち取る

話し合いによる公正証書

公証役場での公証人が作成した公正証書は民事訴訟の判決と同等の効果がある。

【8】判決の種類

債務名義のこと、債権者にお金を支払いなさいという法的拘束力があります。

支払い命令 (判決)

即刻全額支払いなさい。強制執行力があります。

和解調書

期限の利益をつけて和解の金額支払いなさい。期限を過ぎたら強制執行あります。

公正証書

当事者同士の話し合いにより、公証人の前で金額、支払い時期を法的に確定させる。期限を過ぎたら強制執行力があります。

【9】判決から回収への道のり

判決を得ても、債務者(加害者)からすぐに返金されることはほぼありえません。それゆえ強制執行権を行使して、銀行口座の差し押さえ、不動産の差押え、給与差し押さえなどを行います。

それでも債務者が銀行口座に預金がない、不動産名義が本人ではない、給料をもらってないなど、強制執行をされない状態に仕組んでいる場合があります。そこで、事件化していくための最初の動きが生きてきます。債務者が事件の加害者として逮捕され、実刑判決や減刑を図るために被害者に弁済しなくてはならない状況を作ることです。

詐欺行為をしたと事実認定されると、お金を弁済しても刑事罰は消えません。事件化し逮捕までされてしまうと、あとは懲役をどうやって回避するかというところの考えに至ります。ここまでくるとやっと被害金回収の目が出てきます。

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